私は令和8年度の中小企業診断士1次試験にて、【財務・会計】に科目合格しました。
事前に取得していた簿記2級の知識がどのように役立ったかについて解説していきます。
この記事は、こんな方におすすめです。
- 中小企業診断士1次試験の【財務・会計】の勉強をこれから始める方
- 【財務・会計】の勉強方法に悩んでいる方
- 【財務・会計】対策のために、簿記2級を取得しようか迷っている方
私自身、1次試験は2年にわたって合格を目指す計画で勉強を進めています。
勉強開始のタイミングで、7科目すべてに合格することは難しいと判断したからです。
勉強を進める中で、
簿記2級の知識が、【財務・会計】の学習にかなり活きているのでは?
と思うことがありました。
そこで今回は、簿記2級のどんな知識が役立ったのか、逆に簿記2級だけでは足りないと感じた部分は何だったのかについて、実体験をもとに解説していきます。
診断士試験に挑む方の参考になれば幸いです。
簿記2級を取得した経緯
まずは、私が簿記2級を取得した経緯について解説したいと思います。
私は、昨年の転職を機に、宅建・ITパスポート・簿記2級を取得しました。

これら資格の取得を急いだのは、
資格手当が欲しかったから!
という、現金な理由でした。(現金が欲しい)
もちろん、それぞれ別の理由もあります。
| 資格 | 理由 |
| 宅建 | 不動産業界への転職だったことや社内推奨資格だったため。名刺に「宅地建物取引士」の称号が欲しかった。 |
| ITパスポート | 社内推奨資格だった。 |
| 簿記2級 | 経理部門の業務を担当する機会があった。簿記3級を持っていたのもハードルを下げた一因。 |
| 中小企業診断士 | これまでの資格勉強を活かせそう。資格手当がある。名刺に「中小企業診断士」以下略 |
簿記2級に関しては、業務で経理部門を担当すること(といっても少しですが…。)がありました。
これは完全になんとなくですが、
持っておいた方が様になるだろう(実際は全然ならなかった)
という理由で取得しました。
勉強期間は約3カ月です。
簿記3級を2022年に取得していました。概要は掴んでいましたが、3級と2級では難易度が異なります。
また、しばらく簿記の内容に触れていなかったこともあり、
感覚を取り戻すまでに2週間ほどかかりました。
結論:めっちゃ役立つ
他の記事でも書きましたが、1月に合格した簿記2級と関連がありそうな【財務・会計】から勉強を始めています。
実際に、【財務・会計】を勉強をしてみて、
簿記2級勉強してなかったら詰んでたかも…。
と思うほど役に立ちました。
実際の本試験の結果です。
簿記2級の学習範囲と大きくかぶる問題は下記の通りかと思います。

6問中5問を正解することができました。診断士試験対策としてはほぼ勉強していない範囲です。
簿記2級の学習が活きていると感じます。
簿記2級は何を学習するのか
簿記2級は大きく商業簿記と工業簿記に分かれます。
| 商業簿記 | 会社のお金の流れを記録して、財務諸表を作るための知識 |
| 工業簿記 | 製品を作るのにいくらかかったのかを計算するための知識 |
こんなイメージです。
簿記では、仕訳という財務諸表を作成するための前準備から、実際の財務諸表の作成まで学習します。
一方、工業簿記では、製品を作るためにかかった材料費・労務費・経費などを計算し、製品の原価を求めるための知識を学びます。
このように、商業簿記と工業簿記では、少し違った内容を扱います。
簿記2級の試験でも、商業簿記と工業簿記は問題が分かれており、第1問~第3問が商業簿記、第4問・第5問が工業簿記という構成です。
しかし、中小企業診断士の【財務・会計】では、簿記2級のように
「これは工業簿記です」
と明確に区切られているわけではありません。
例えば、令和8年度の【財務・会計】では、第12問で工業簿記範囲の問題が出題されています。
簿記2級の範囲を当たり前のように理解していないと解けない問題が多いと感じます。
実際に役に立ったこと
それでは、実際に簿記2級の学習内容が役に立ったと感じたことを3点ご紹介します。
📊簿記2級が役に立ったこと
- 財務諸表、制度会計
- 経営分析の理解はスムーズだった
- その他分野も苦手意識を持たずに進められた
それぞれについて解説します。
その前に財務・会計の学習内容とは
まず、【財務・会計】の学習内容を簡単にご紹介したいと思います。
TAC出版の『スピードテキスト【財務・会計】』の冒頭(p12)を参考に【財務・会計】の学習内容を図にしてみました。

簿記2級の知識が活きるのは、財務諸表、制度・管理会計だと思います。
特に制度会計の主な内容は「財務諸表の作成プロセス」のため、ほぼ簿記2級と言っても過言ではないと感じました。
『スピードテキスト』8章以降はほぼ簿記2級で学習した内容っぽかったので、ほぼ学習しておりません。
財務諸表、制度会計
財務諸表については、貸借対照表(B/S)、損益決算書(P/L)や株主資本等変動計算書の見方について学習します。
簿記2級やん….。
という感覚でした。
実際、『スピードテキスト』の8章以降については、簿記2級で一度学習した内容と重なる部分が多かったため、私はテキストをほとんど読み込まずに進めています。
もちろん、すべての内容が完全に同じというわけではありません。
ただ、簿記2級で一度勉強したことがあるというだけで、「初めて見る分野」という感覚がかなり少なかったのは大きかったと思います。
経営分析の理解はスムーズだった

経営分析についても、簿記2級の知識が役立ったと感じました。
例えば、ROEなどの指標そのものについては簿記2級で詳しく学習するわけではありません。
そのため、ROEや長期固定比率など、それぞれの指標の意味や計算方法を覚えること自体は必要でした。
ただ、経営分析では財務諸表の数字を使って各種指標を計算します。
簿記2級で財務諸表について勉強していたため、
「この数字はB/Sのここを見るんやな」
というように、数字の意味を理解しながら勉強を進めることができました。
指標そのものを覚える大変さはありましたが、財務諸表に対する抵抗感がなかったことは大きかったと思います。
その他分野も苦手意識を持たずに進められた
簿記2級と直接関係する分野だけでなく、その他の分野についても、結果的に勉強を進めやすかったと感じています。
【財務・会計】には、簿記2級では一度も触れたことがない内容もたくさんありました。
それでも、最初から「財務・会計は難しい科目だ」という苦手意識を持つことはありませんでした。
簿記2級の学習によって、財務諸表や会計に対する基本的な理解ができていたため、知らない分野についても比較的スムーズに受け入れられたのではないかと思っています。
全部が初めてだと、
【財務・会計】、無理。
となっていたかもしれません。
しかし、すでに知っている部分があったことで、
ここは分かる。じゃあ、これは何なんや?
という感じで、知らない部分にも入りやすかったです。
個人的には、これが簿記2級を取得していたことによる意外なメリットだったと思います。
簿記2級だけでは足りなかったこと
ここまで、簿記2級の知識が【財務・会計】の勉強にかなり役立ったと書いてきました。
一方で、
簿記2級を持っていれば、【財務・会計】は余裕!
というわけではありません。
実際に勉強してみると、簿記2級ではほとんど触れていない分野もありました。
私が特に「簿記2級だけでは足りない」と感じたのは、以下のような部分です。
- ファイナンス分野
- 中小企業の会計に関する指針などの知識
- 簿記2級で一度勉強した内容でも、完全に身についているとは限らない
ファイナンス分野はほぼ未知の世界
特に苦労したのが、ファイナンス分野です。
簿記2級では、財務諸表や原価計算などを勉強していましたが、ファイナンスについては全く馴染みがありませんでした。
そのため、【財務・会計】の勉強を始めた当初は、

「1年後の10,000円が10,000円じゃないだとおおおなんとおおお」
という感じです。
しかも、ファイナンスは一度テキストを読んだだけで理解できるようなものではありませんでした。
何度も問題を解いて、間違えて、解説を確認して……ということを繰り返して、少しずつ理解できるようになりました。
正直なところ、試験直前になってようやくファイナンス分野の論点を理解できたくらいです。
簿記2級の知識があったことで【財務・会計】の入り口には立ちやすかったと思いますが、ファイナンスについては別途しっかり勉強する必要がありました。
中小企業の会計に関する指針などは知らない
もう一つ、簿記2級ではあまり触れていなかったのが、中小企業の会計に関する指針などの知識です。
簿記2級では仕訳や財務諸表の作成など、会計処理そのものについて学ぶことが中心でした。
一方、中小企業診断士の【財務・会計】では、こうした会計に関するルールや制度について問われることがあります。
ここは私にとって完全に別分野だったので、
「簿記2級やってたから分かるやろ」
とはなりませんでした。
実は、過去問では前提知識を利用してなんとなく当て勘できる問題もありました。
ただ、本番では当て勘が通用しない問題が出題されるのはあるあるですね….。
簿記2級で勉強した内容でも、忘れていることはある
そして、これは実際に本試験を受けてみて感じたことです。
「簿記2級で勉強したことがある」=「今も完璧に解ける」ではありません。
その典型例が連結会計でした。
連結会計は簿記2級の試験でも勉強しており、簿記2級を受験したときには問題を解くことができていました。
ところが、診断士の本試験では、連結会計の問題を間違えてしまいました。

簿記2級受験のときは解けてたんですよ……?
と言い訳する感じです。
簿記2級を取得してから時間が経っていたこともあり、知識が完全に定着していたわけではありませんでした。
この経験から、
簿記2級を持っているから大丈夫!
ではなく、
簿記2級で勉強したことがあるから、理解するための土台がある
くらいに考えるのがちょうどいいと思います。
簿記2級を取得してから中小企業診断士を受験するべき?
ここまで簿記2級が役立ったこと、逆に簿記2級だけでは足りなかったことについて書いてきました。
では、実際に簿記2級を取得していなかったら、私は中小企業診断士1次試験に合格できていたのでしょうか。
正直に言うと、
私はかなり厳しかった
と思っています。
私は令和8年度の1次試験を、約5か月の勉強期間で4科目に絞って受験しました。
その中でも、【財務・会計】は最初に勉強した科目でした。
簿記2級を取得した直後だったこともあり、財務諸表や会計の基本的な考え方については、ある程度理解した状態からスタートできました。
もし簿記2級の知識がなかったら、財務・会計の基礎から理解するために、さらに時間が必要だったと思います。
簿記2級は財務諸表を作成するプロセスを学び、実際に作成します。
この経験がなければ解けないであろう問題も数多くありました。
もちろん、簿記2級を持っていれば中小企業診断士に合格できるわけではありません。
実際、ファイナンスなどはかなり苦戦しましたし、簿記2級で勉強した連結会計を本番で間違えたりもしました。
それでも、私自身の経験を振り返ると、
「簿記2級を取得していなかったら、5か月で4科目に合格するのはかなり厳しかった」
と感じています。
まとめ

今回は、私自身の経験をもとに、簿記2級が中小企業診断士1次試験の【財務・会計】でどの程度役立ったのかについて解説しました。
結論として、私の場合は簿記2級を取得していて本当に良かったと感じています。
特に、
- 財務諸表・制度会計
- 経営分析
- 財務・会計に対する苦手意識の軽減
といった部分では、簿記2級の知識がかなり活きました。
一方で、ファイナンス分野や中小企業の会計に関する指針など、簿記2級だけでは対応できない分野もあります。
また、簿記2級で一度勉強したことがある内容でも、時間が経てば忘れてしまうことがあります。実際、私は本試験で連結会計の問題を間違えてしまいました。
そのため、
簿記2級を持っていれば、財務・会計は勉強しなくても大丈夫
というわけではありません。
それでも、私自身は5か月という限られた期間で4科目の合格を目指した中で、簿記2級が財務・会計の土台になってくれたことは間違いないと感じています。
そして、もし簿記2級を取得していなかったら、私の場合は5か月で4科目に合格するのはかなり厳しかったと思います。
これから中小企業診断士を目指す方で、簿記2級の取得を検討している方の参考になれば幸いです。
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