完全独学【中小企業診断士】財務・会計の勉強法|簿記2級は必要?5か月で4科目合格した私が実践した攻略法

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私は令和8年度の中小企業診断士試験にて、【財務・会計】は72点でした。

完全独学での成績です。この科目の私の勉強法について、ご紹介できればと思います。

この記事は、こんな方向けに書いています。

  • 中小企業診断士の財務・会計をこれから勉強する人
  • 財務・会計の勉強方法が分からない人
  • テキスト・問題集・過去問をどう使えばいいか迷っている人
  • 財務・会計を効率よく勉強したい人
  • 実際に独学した人の勉強方法を知りたい人

お役に立てれば幸いです。


財務・会計は「理解」⇔「演習」が重要

中小企業診断士試験における【財務・会計】は、計算問題や図の読み取り問題なども出題され、各論点を単純に暗記するだけでは対応しにくい科目だと感じました。

もちろん、用語や公式など、知識として覚えておかなければならないこともあります。

しかし、単純に用語の意味を覚えているだけで正解できる問題は限られています。

1つの論点について、さまざまな角度から問われても対応できるように、「なぜそうなるのか」まで理解することが重要です。

たとえば、下図のような「効率的フロンティア」の学習では、単純に「直線と曲線の接点は何を表すか?」といった問題だけが出題されるわけではありません。

図のそれぞれの点がどのような状態を表しているのか、リスクとリターンの関係はどうなっているのかなど、1つの論点からさまざまな角度で出題されます。

(令和4年 問16の問題とか…)

B.pdf (jf-cmca.jp)

そのため、私は「この論点について説明してください」と言われたときに、自分の言葉で説明できる状態を目指して学習していました。

私は今年の1月に簿記2級を取得したため、【財務・会計】という科目そのものへのとっつきにくさは、それほどありませんでした。

一方で、財務・会計をまったく勉強したことがない方の場合、最初からすべてを理解しようとすると苦労すると思います。

そこで重要なのが、最初から完璧に理解しようとしないことです。

まずは「この論点はこういう話なのか」と大まかに理解する。

実際に問題を解いてみる。

分からなかった部分をテキストに戻って確認する。

もう一度問題を解いてみる。

このように、「理解→演習→理解→演習」を繰り返しながら、少しずつ理解を深めていく方法がおすすめです。

実際、私自身も「効率的フロンティア」について完全に理解できたのは、試験直前の過去問演習をしていた頃でした。

最初から完璧に理解できなくても問題ありません。

まずはその分野や理論がどういう話なのかを大まかに理解し、問題を解きながら細かい部分を補っていく。


2.財務・会計が難関科目の一つである理由

まず、【財務・会計】の学習内容を簡単にご紹介したいと思います。

TAC出版の『スピードテキスト【財務・会計】』の冒頭(p12)を参考に【財務・会計】の学習内容を図にしてみました。

中小企業診断士試験における財務・会計は、受験生にとって難関科目の一つであると言われています。

理由は2つあると思っています。

  • 簿記分野がとにかくとっつきにくい
  • 日常的な感覚からは離れた理解が必要

私は今年の1月に簿記2級を取得したばかりでした。よって、「簿記分野がとっつきにくい」ということはあまりありませんでしたが、未習の方だと、かなり苦労する部分かと思います。

実際、私自身も3級から取得し、その後2級を取得しましたが、最初は簿記自体が何をしているのか理解できませんでした。

また、簿記を理解していることを前提として、さらに深く問われる問題もあり、対応が難しい場合もありました。

簿記以外の分野に関しては、日常的な感覚から離れた理解が必要でした。

例えば、「正味キャッシュフロー」という概念がありますが、所謂現金の残高ではありません。簿記分野でも「キャッシュフロー」が出てきますが、これもまた少し違った意味があります。

古文の『おかし』が「おかしい」という意味ではあまり使われない、みたいな感覚ですね。こういうことが、学習を進めていると都度起きます。


3.【財務・会計】の学習内容を分解する

【財務・会計】といっても、先ほどの図の通り、7つの領域に分けることができるほどに範囲は広く感じます。

7つを簡単に解説すると以下のようになります。

<財務>

 ❶企業財務論

企業価値や株式価値、MM理論など、理解と計算力の両方が求められる分野です。

 ❷意思決定会計

設備投資を行うか、行わないかをキャッシュフローの観点等から判断するための計算などが中心です。

 ❸証券投資論

証券への投資に関する内容です。そこまで深くは入り込みませんが、標準偏差やβ値など、公式の暗記に苦労しました。特に効率的ポートフォリオは超頻出範囲です。

<会計>

 ❹財務諸表

貸借対照表や損益計算書の内容が理解できることが必要。基礎を理解していることが当たり前の雰囲気で、より深い内容を問われることがあります。

 ❺制度会計

ほぼ簿記2級。簿記2級でも難易度が高いと言われる連結会計も平然と出題されることがあります。(令和8年度は平然と出題されていた。)

 ❻管理会計

簿記2級の工業簿記感が強い。簿記2級勉強してなかったら、理解間に合わなかったかもしれません。

 ❼経営分析

「負債比率」「流動比率」「固定比率」「固定長期適合率」など、似た用語や考え方も多いです。計算問題での出題ならいいが、「○○が上昇すると△△は上昇する」などの文章での選択肢だと財務諸表の要素が一気に強くなる。

私自身は、これらをさらにざっくりと4つに分けて考えていました。

  • 簿記2級が活用できる分野
  • 企業財務論と意思決定会計の理解はワンセット
  • 証券投資論
  • その他

では、この4つを軸に私が実際に行った攻略法を紹介していきたいと思います。


4.簿記2級が活用できる分野

7つの分野のうち、❹財務諸表❺制度会計❻管理会計に関しては、簿記2級の学習がフルに活用できます。

私はたまたま、簿記2級を取得後に中小企業診断士試験の受験を決意したため、予め知識がある状態で勉強をスタートできました。

一方で、中小企業診断士を受験される方の中には簿記を取得されていない方もいらっしゃると思います。

私は、【財務・会計】の学習を始める前に、まず簿記2級の勉強(時間があれば受験し、合格を目指す)から始めることをおススメします。

おススメの理由は4点あります。

 (1)仕訳が身に付くから

 (2)財務諸表の作成まで学習・演習できるから

 (3)そもそも簿記2級の知識を前提にしている問題が多い

 (4)診断士の教材だと演習不足になりがちだから

(1)仕訳が身に付くから

簿記未学習の方がまず難しいと感じるのが、「仕訳」です。

簿記において基礎の基礎となる作業です。簿記の教材ではこれが体系的に整理されています。

私自身は3級から学習を始め、その後2級を取得しました。

簿記未経験の方であれば、まず3級から学習を始め、その後2級に進むのもよいと思います。

(2)財務諸表の作成まで学習・演習できるから

中小企業診断士の試験において、財務諸表を作成しなさいという問題はあまり見ないように思います。

一方で、簿記2級では財務諸表が作成できることが必須となります。

財務諸表の作成は、枝分かれしていた知識を最後に統合する作業なので、理解度が一気に高まります。

(3)そもそも簿記2級の知識を前提にしている問題が多い

簿記2級を学修していることが前提になっているのでは?と思うほど、簿記2級で出題されてもおかしくない問題が出題されます。

令和7年、8年ともに簿記的な要素の問題が多く出題されており、簿記2級取得者は強みになったと思います。

(例)「令和8年度 問8」

B1JC2026 (jf-cmca.jp)

答えは「ウ」ですが、仕訳を理解していることが前提の問題です。簿記2級取得者なら結構簡単と感じると思います。

(4)診断士の教材だと演習不足になりがちだから

診断士の教材は、7つの分野を幅広く解説・演習する用に作成されています。

よって、簿記分野に多くのページを割くことは難しいです。

簿記2級の内容は、仕訳や財務諸表の作成など演習量で理解できるものが多い為、診断士の教材のみでは演習量が不足する恐れがあると感じました。


診断士の試験のために、別の資格を勉強することは一見遠回りに見えます。

しかし、出題傾向として簿記2級を前提にしている問題がいくつもあります。

難易度が高い【財務・会計】を攻略するためには、簿記2級を勉強することが最も近道だったと感じています。


5.企業財務論と意思決定会計の理解はワンセット

企業財務論と意思決定会計は、内容は違えど、出てくる数式や考え方はよく似ているため、ワンセットで理解するようにしていました。

「DCF」「WACC」「FCF」「財務レバレッジ」「MM理論」など、横文字も多く概念自体を理解するには時間が掛かりました。

私が勉強する上で注意していたことが3つあります。

  • ゆっくり立ち止まって理解する
  • 公式は暗記してもしなくてもOK
  • 計算問題(特に過去問)の復習に時間を掛ける

(1)ゆっくり立ち止まって理解する

前から順番に学習していくと、どうしても各論点がバラバラに理解されてしまいました。

そこで一度立ち止まって、「結局、これって何?」「何を何しているの?」と考える時間を作りました。

例えば、「企業価値」と「株価価値」がほぼ同じ意味で認識していましたが、実際は考え方や求め方(それぞれに複数ある)が異なります。

「企業価値は○○って考えで、△△お◆◆から求めることが出来て、公式は~」といった感じで、自分で誰かに説明できるようなレベルまで理解することを意識していました。

(2)公式は暗記してもしなくてもOK

公式自体は暗記してもしなくてもOKと割り切っていました。

スピードテキストには公式の導き方まで解説があり、そちらのほうが公式を覚えるよりも、答えが導きやすいと感じるものもあったからです。

例えば、ROAでROEを求める公式は丸暗記していました。株式の公式に関して、簡単な公式でしたが公式の導き方から計算するようにしていました。(問題文からその公式を利用すればよいと判断する自信がなかったため)

(3)計算問題(特に過去問)の復習に時間を掛ける

計算問題に関しては、与えられた条件からどのように立式するかが重要だと感じていました。問題文と解説文を1文1句読み飛ばさず、立式までの流れを理解できるように、復習には時間をかけていました。


6.証券投資論

証券投資論に関しては、「効率的フロンティア」と「デリバティブ」に大きく分けて勉強していました。

■効率的フロンティア

効率的フロンティアは、超頻出範囲です。その分、捻ってくる問題というよりは、上図が深く理解できているかを問われる問題が多いと感じました。

まずは、上図が意味するところを理解することから始め、過去問等の演習で、自分の理解が合っているか、どんな問われ方をするかが分かるようにしていました。

過去問でも上図を紐解く問題が多いです。(令和8年度は文章のみの設問でしたが…)

■デリバティブ

オプション取引(コール・プットオプション)や先物取引、スワップ取引など、理解が難しい用語が並びます。

先物取引は覚えることが多く、その他の論点は理解を深める必要がありました。最後まで少し苦手意識を持っていた分野ですが、過去問からそこまで深く問われないとの認識だったので、暗記学習が中心でした。

しかし、令和8年度で出題されたオプション取引の問題(問23)は、テキストの最後の方に記載されていました。

B1JC2026 (jf-cmca.jp)

過去5年の過去問でも出題がなかった論点であったため、全く分かりませんでした。今、テキストを読み返しても分かりません。


7.その他

ここまで紹介した分野以外にも、【財務・会計】には細かな出題範囲があります。

例えば「会計規則」(財務諸表作成時や会計上のルール)や教材には詳細の記載がない考え方(営業レバレッジはスピテキにないが令和6年度で出題)が出題されることはあります。

用語を知らなければ解けない問題や、周辺知識があれば消去法で解ける問題など様々です。

合格点が6割で良いことや、これまで紹介した3つの分野からの出題が多いことを踏まえ、その他の範囲は過去問で出ているものを軽く覚えておく程度にしていました。


8.私が実際にやった財務・会計の勉強法

私が【財務・会計】で意識していたのは、各論点に関して「なぜ?」「なに?」を問い続けることです。


特に計算問題では、「なぜこの式になるのか」を理解してから、同じ問題を繰り返し解くことを意識していました。

【財務・会計】の勉強は以下の流れで行うことが多かったです。

  • テキストを読む
  • 問題集を解く
  • 計算問題は「なぜその式になるか」を確認する
  • 過去問はできる限り早めに取り掛かる

 ❶テキストを読む

テキストを読むにあたっては、以下の2点を意識していました。

(1)テキストだけで理解はしない

まずは、テキストを軽く1周読みました。「へ~こんなことを勉強するんだ。。」程度の理解でした。

公式を覚えることも、各論点を深く理解しようとすることもしていません。まずは、全体像を掴むことから始めました。

テキストは、問題集や過去問を解くときにも何度も読み返します。特に論点の理解が求められる科目では、演習抜きでテキストのみで理解を進めるのは難しいと感じています。

よって、テキストを読むだけのタイミングでは、深い理解は必要ないと考えて勉強を進めていました。

(2)メモ

ROAがなかなか覚えられなった

テキスト内で散らばった知識を、そのページだけ見れば関連する知識も思い出せるように、細かなメモを残していました。

特に用語の意味に関しては、横断的に出てくることが多く、毎回テキストの別ページを行ったり来た入りするのは大変ですからね。(ROAや負債比率、配当性向…などなど)

 ❷問題集を解く

1周目から完璧にやろうとするとなかなか前に進みません。1周目から完璧に解こうとはせず、テキストを見ながらでもいいので、とにかく問題を解いてみることを意識していました。

この段階では、5割くらいしか理解できていなかったと思います。

2周目に入ると、すでに理解できているものとそうでないものに分かれてきます。理解でいているものはテキストを見ずに解き、難しい問題はテキストを見ながら演習しました。

最終的には全問題3周は行い、覚えていないものは理解が進まないものに関しては4~5回解いていました。

何度も演習しても理解できない問題もあります。頻出範囲であれば継続的に演習していましたが、出題頻度が低そうなものは、一旦後回しにすることが多かったです。

6割でいいという気持ちで演習をしていました。

モチベ維持のため、演習後チェックをするようにしていた。

 ❸計算問題は「なぜその式になるか」を確認する

財務・会計の計算問題では、答えを出せることよりも、「なぜこの式になるのか」を説明できることを意識していました。

計算問題には、大きく分けて2種類あると感じていました。

  • 数値を与えられて、公式に当てはめれば解ける問題
  • 問題文を読んで、必要な数字や考え方を自分で組み立てて立式する問題

特に難しいのが、後者です。

公式を知っているだけでは、「この問題ではどの公式を使えばいいのか」を判断できません。

そのため、間違えた問題については答えだけを確認するのではなく、問題文のどの部分から、どの数字を使って、どういう考え方で式を作っているのかを確認していました。

解説を読むときも、

「この数字は問題文のここから持ってきている」
「ここでこの計算をする理由は○○だから」

というところまで理解するようにしていました。

最初は解説を読んでも「なんでこの式になるん?」という問題もあります。

そういう問題は、テキストに戻ったり、もう一度解説を読み直したりして、自分の中で立式までの流れがつながるまで復習していました。

同じ問題を何度も解くこともありましたが、単純に答えを覚えるのではなく、

「この問題を初見で見たときに、自分でこの式を作れるか?」

を意識していました。

 ❹過去問はできる限り早めに取り掛かる

問題集は、テキストの順番通りに進むため、「あ、次はこの論点の問題ね」と無意識に知識が思い返されます。

一方で、実際の試験ではテキスト通りの順番で出題されるわけではありません。一定の出題傾向はありますが、決まった順序はないのです。

そのため、「この問題は何の論点なのか」「どの考えを利用すればいいのか」を自分で判断する必要があります。

「これは○○の論点で、△△を利用して立式して、××を代入すれば….」と、パッと出た問題でも対応できる力が本番では必要になります。

よって、私はなるべく早めに過去問に取り掛かかるようにしていました。

また、実際に過去問を解いてみることで、理解しているつもりでも、各論点を混同してしまっていることがよく分かりました。


9.財務・会計で捨てるべきもの、捨ててはいけないもの

診断士試験は7科目あります。もし1年でストレート合格を目指すとなると、膨大な量の知識を理解・暗記する必要があります。

一方で、各科目は6割で合格できます。(7科目合計で6割でもOK)

よって、すべての科目を完璧にマスターする必要はなく、学習する範囲を取捨選択することが、この膨大な量の試験をこなすためには有効だと思っていました。

実際、私は【財務・会計】で以下のものは、失点してもよいと割り切っていました。

  • 割引超過利益モデル
  • 中小企業会計に関する指針
  • 簿記2級取得直後でも分からない簿記分野の問題
  • 収益の認識

過去問は5年分解きましたが、上記の分野は実際に出題されていました。

それでも、理解するためにかかる時間や労力が大きすぎると感じたため、そこに時間を使うよりも、他の分野で得点した方が良いと判断して、捨てることにしました。

もちろん、「捨てる」といっても、最初から無視していたわけではありません。

テキストを読んだり、問題に触れたりしたうえで、「ここは今の自分にはコストが高すぎる」と判断したものを捨てるようにしていました。

実際、割引超過利益モデルは令和8年度に出題されてしまい、本番ではどう計算しても選択肢の数字が出てこず、焦ってしまった記憶があります。

ただ、こういうことは本番では起こり得ます。

「勉強していない問題が出た=終わった」ではありません。

6割を取ればいい試験だからこそ、分からない問題に出会ったときに「これは捨てた範囲だから仕方ない」と割り切って、次の問題に進むことも大切だと感じました。


一方で、捨ててはいけない問題は問題集に掲載のあるものだと思っています。

問題集の問題は、テキストの内容の中でも、特に本試験に頻出のもので構成されています。【財務・会計】の問題集自体はそこまで量が多くないと感じるため、ここはほぼ完ぺきにするようにしていました。

10.まとめ

私が【財務・会計】を勉強するにあたって大事にしていたことは、

「理解→演習→理解→演習」

を徹底するということです。

覚えるのではなく、自分の言葉で説明できるようになるレベルまで理論等を理解することが重要でした。

そして、以下の事を気を付けて学習を進めました。

  • 「6割で合格」の事実を忘れない
  • 簿記2級の取得は遠回りだけど近回り
  • テキスト、問題集の1周目は5割くらいの理解でOK
  • 計算問題はなぜその立式になるかまで理解する
  • 各論点は一旦立ち止まって理解を深める
  • 捨ててもよい分野もあってOK

【財務・会計】は難関科目の一つと言われていますが、決して合格できない科目ではないと思います。

本記事が皆様の勉強の参考になれば幸いです。

<参考記事>

【完全独学】中小企業診断士1次試験の勉強法|5か月で4科目合格した私が実践した方法 – 診断士合格への道 (shindanshi-study-note.com)

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