令和8年度の中小企業診断士試験【経営法務】を受験し、「68点」で合格しました。
今回は、私が実際に行った完全独学の勉強方法をご紹介したと思います。
1.経営法務は単純な「暗記」科目ではない
中小企業診断士の勉強を開始する前に、「経営法務は暗記が重要」という解説を見たことがあります。
実際に受験してみると、少し違いました。
経営法務は単純な「暗記」科目ではない
ということです。
【経営法務】と聞くと、法律に関することを覚えることが多いと想像していました。
実際、暗記のための小テストなども作成し、それが点数に繋がったと思っています。
例えば、「令和4年度 問2」のような単純な数値を問う問題もあります。
一方で、そもそもこれらを暗記するにあたって、株式会社とは何か、株主総会とは何か、という本質的な知識を固めておく必要があると感じました。
私はこれまでそのような知識なく生きてきましたので、まずはそこに躓きました。
ここを理解できるようになって初めて、細かな知識の暗記がスムーズにいくようになったと思います。
「経営法務は暗記」というのは、前提知識が身に付いている状態になった時に言えることだと思います。
2.経営法務は4つの分野に分けた
(1)私的4分類
本試験は主に、「会社法」「知的財産権」「民法」より構成されています。
一方で、私は勉強を進める中で、下記のような分類をしていました。

- 民法
- 設置機関(会社法)
- 知的財産権
- その論点
過去問を解く中で、上記のように分類して、重点的に学習すれば6割以上を目指せると感じたからです。
(2)それぞれの特徴
❶民法
民法は、年度によって出題数が全く違います。
| R8 | R7 | R6 | R5 | R4 | |
| 問題数 | 7 | 6 | 3 | 3 | 6 |
相続は頻出論点です。下図のように、問題集でも見るような問題が出ることもあります。
(「令和4年度 問21」とかは基本的な問題だけど、良い問題よ)
また、物権関係は馴染みがないととっつきにくいと感じるかもしれません。
(「令和6年度 問20」とかは馴染みがあれば結構簡単?)
宅建合格を機に、中小企業診断士を受験する方もいると思います。
宅建の民法に対応できてれば十分太刀打ちできる問題が多いと感じました。
❷設置機関
この分野は「会社法」の分野ですが、会社法の中でも設置会社の分類が頻出のため、これを大きな1つのカテゴリーと捉えていました。
「○○会社には▲▲が設置されている」のような、暗記していないと対応できない問題がほとんどです。
これが「経営法務は暗記科目」と言われる理由だと思います。
しかし、私はそもそも前提となる「○○会社」とは何か、「▲▲」とは何かを知らなかったので、理解と暗記に時間が掛かりました。
❸知的財産権
知的財産権に関しては、「特許権・実用新案権・意匠権・商標権」と「著作権」にがっつり分けていました。
感覚的に、著作権が異質なものだと思ったからです。
過去問を解きながら感じたのは、ガチ暗記分野だということです。
捻る問題がほとんどないと感じたので、理解うんぬんというより「こうなっているもの」で進めても問題ないと思いました。
❹その他
❶~❸以外の分野はすべてその他として考えていました。
その他の中でも事業譲渡だけはガチで暗記しました。
その他は、頻出ではないため、そこまで深く気にせずに勉強を進めていた記憶です。
理解に時間を費やすより、暗記に徹していました。
3.民法の攻略法
まずは、民法です。
<民法のポイント>
- 宅建の民法知識をフル活用
- 『相続』は一から勉強
- 『共有』は知的財産権とセットで
❶宅建の民法知識をフル活用
昨年、宅建受験の際に民法を学習していました。
診断士試験の過去問を確認すると、宅建の民法分野よりも解きやすく、既存の知識で十分対応できると思いました。
宅建の民法に関しては、捻ってくるな~と感じることが多かったので、基礎的な問題が多い診断士の民法は解きやすいです。
また、スピードテキストが民法分野を簡潔にまとめてくれているので、復習にはもってこいでした。
一方で、民法について初学の方は苦労すると思います。
診断士用のテキストのみだと、
- 解説が抽象的
- 解説が多くない
- 演習量が確保できない
といった理由で、本試験に対応できる力が付かない可能性があります。
「具体的にどういうこと?」を繰り返さなければ理解が難しく、具体例を調べるのに時間が掛かります。
AIに具体例を出してもらうと、理解がスムーズに進むと思います。
❷『相続』は一から勉強
『相続』分野に関しては、診断士のテキストを一から読み直し、問題集も会社法等の分野と同様に周回していました。
私はTAC出版の「スピードテキスト」を利用していましたが、『相続』分野がとても簡潔にまとまっており、初学の方でも理解がしやすいと感じました。
また、宅建でも学習していない分野もあります。
- 経営承継円滑化法(遺留分特例)
- 仮払い制度
- 相続による株式譲渡
テキスト、問題集と過去問の演習で、十分に知識と対応力がつくと感じました。
❸『共有』は知的財産権とセットで
『共有』に関しては、民法でも知的財産権の分野でも出題される内容です。
また、この2分野を混合して出題された問題もあります。
(「令和5年度 問20」の選択肢ア~ウが知的財産権で、エが民法、チョー良問)
共有は、頻出とまでは言えませんが重要論点の一つだと思います。
『共有』に関しては、民法と知的財産権を絡めて学習すると理解が深まりやすいと感じました。
4.設置機関の攻略法
次に設置機関です。
設置機関は、会社法の分野の一つですが、特に頻出で複数問出題されるため、私の中では独立したものとして勉強していました。
<設置機関のポイント>
- 各機関の役割
- 株主総会
- 設置機関のまとめ表
- 細かな論点整理
❶各機関の役割
会社を構成する機関として、株主総会、取締役等々があります。
そもそもそれらがどんな役割を果たしているのかを理解することから始めました。
事前知識がなかったので、ここにとても時間がかかりました。全体像を把握することが難しかったです。
過去問を解いていて、「●●では、××の議決を行う」みたいな問題はあまり見ませんでしたが、問題としては以下のように出ることもあります。
❷株主総会
超頻出分野ですが、2つに分けて勉強していました。
- 招集に関する内容
- 決議に関する内容
招集に関する内容
決議の日よりも前に、何をするのかを理解する必要がありました。
・どうやって招集する?
・何日前に手続きする?
・株主はどういう提案できる?
このあたりを、テキストを何度読み返して、自問自答しながら暗記しました。
(「令和6年度 問3」みたいな意外と単純な数字穴埋め問題も出るよ。)
決議に関する内容
スピードテキストp81の「図表 株式総会の決議(原則)」は何度も何度も読み返しました。
正直、これで十分に本試験に対応できると思います。
決議に関しては、それ単体で問われるというより、監査役や取締役に関する問題の選択肢の一つに入ってくるイメージです。
(「令和5年度 問2」とかは比較的単純な問題の方)
❸設置機関のまとめ表

スピードテキストp109の「図表 株式会社の機関および種類のまとめ」をそのまま自作テストにしていました。
(今年度の問1がズバリこれで、幸先がよかった。)
この表を覚えておけば解ける問題がよく出ている印象です。
テキストには、詳細な論点が事細かく記載されています。しかし、結構単純な問題もあるため、まずはこの表を完璧にすることから始めました。
❹細かな論点整理
テキストを開くと分かりますが、各分野に本当に細かい論点がちりばめられています。
その中でも、以下のものはテキストや小テストで対策しました。
- 取締役と監査役任期ルール
- 取締役会と監査役会の招集、決議方法について
- 特別決議等が必要な事項(取締役会や公開会社等の条件分け)
それ以外の論点に関しては、出題されたら諦める精神で、さらっとだけ読んでいました。また、試験当日に覚えられたらラッキー程度に考えていました。
合言葉は「6割でOK」です。
(指名委員会とか、ほぼ捨てておりました、、)
5.知的財産権の攻略法
知的財産権は超暗記分野として認識していました。
実は、全くの初学分野でしたが、抵抗なく学習を進めることができました。おそらく、前提知識がなくても理解しやすい分野なのだと思います。
<知的財産権のポイント>
- 全体像は初めに掴んでおく
- とにかくp256~259はほぼ丸暗記
- 著作権は一旦別分野として考える
- 過去問は何度解いても有効
- 特殊な商標制度等のマイナー論点は概要だけ
❶全体像は初めに掴んでおく
テキスト1周目のタイミングで、知的財産権には申請の流れがあることや各権利よって少しずつ違いがあることを認識しておきます。
「職務制度に関しては特許権と同じです」、のようにバッサリと説明が省かれるものもありますが、最終的にはp256~の図表で理解できますので、詳細は追いませんでした。
❷とにかくp256~259はほぼ丸暗記


スピードテキストp256の「図表 産業財産権まとめ」を、写経するかのようにA4用紙に写していました。
写すタイミングで「無効審判と異議申し立ての違いは~~」とぶつぶつ一人ごとを言いながら、理解を進めていました。
ただ写すだけではなく、写すと同時に理解を深めていたのです。
❸著作権は一旦別分野として考える
スピードテキストの構成もそうですが、産業財産権4権と著作権は分けて記載されています。
それだけ性質が違うからです。
一方で、その性質の違いを問われる問題も出題されます。(「令和4年度 問16」はいい例です。)
ただ、出題数としては圧倒的に産業財産権が多いと感じていたため、著作権に関しては以下の項目のみ勉強していました。
- 著作物の例示(p268)
- 著作権の移転(p280)
著作権に関しては、細かな内容が記載されていましたが、覚えきれないことや頻出ではないことを考え、残りの分野はさらっと読む程度で終えています。
❹過去問は何度解いても有効
何度同じ問題を解いてもよい、と感じました。
過去に出題されている問題は基本的なものも多く、知識の定着に役立っていました。
また、同じような選択肢が出題されることもあります。
ただ、令和8年度に関しては若干深めの内容を問われている気もしました。
「おや?過去問で対応できるか?」と感じることが多かったです。
よって、過去問の周回はあくまでも知識の定着に使いつつ、テキストの細かい論点も取り入れられるところは取り入れる必要がありそうです。(深入りは不要と考えますが…。)
❺特殊な商標制度等のマイナー論点は概要だけ
マイナー論点は拾いきろうとするとキリがありません。
とにかくこの分野は細かな内容が多い反面、過去問を見ている限りだと、そこまで深く問われないと判断し、深追いしていません。
過去問で既出のものをテキストで復習し、概要だけ掴むようにしていました。
6.その他の攻略法
【経営法務】にはそれ以外にも様々な論点がありました。
覚え出したらキリがないことや、合格点は6割であることを考慮し、以下の論点のみ取り組んでいます。
- 組織再編
- 清算、破産
- 持分会社
- 不正競争防止法、独禁法の課徴金制度
- 国際条約
- 職務発明
理解するよりも、どちらかというと暗記を優先して取り組みました。
特に「組織再編」「国際条約」「職務発明」は、時間を費やした論点です。
本当に暗記優先であり、「○○は対価の柔軟性がある、ない」といった知識しかありません。
一方で、過去問を見てもそれ以上に深く問われていないことがほとんどであり、これで対応できると考えていました。
7.英文問題は運!と割り切る
【経営法務】では、高頻度で英文契約についての問題が出題されています。
過去問を解く中で、「簡単!」か「単語が分からなさ過ぎてムリ!」のどちらかでしたので、「運だな」と割り切っていました。
知識が問われるというより、和訳できるかが運命を分けています。
| 令8 | 令7 | 令6 | 令5 | 令4 | 令3 | |
| 私的難易度 | 易 | 易 | ムリ | 普 | ムリ | 易 |
英文中によく出てくる単語は、なんとなく覚えるようにしていました。
- article
- governed
- arbitration
- agreement などなど
8.何を捨ててよいか
あまり勉強しなかった論点
マイナー論点も過去問に登場するため、深入りしたくなるとことですが、概要だけ押さえるようにしていました。
繰り返しになりますが、「6割で合格」できます。
<実際にあまり勉強しなかった範囲>
- 指名委員会等設置会社(R8年度出るっていう…)
- 資本市場に関する基本知識(R8年度出るっていう…)
- 著作権の詳細(R8年度出るっていう…)
全く勉強しない論点は作らない方がいいかも
実際に受験してみて分かったことですが、結構まんべんな出題されるな~と思いました。
「この分野には全く触れない」というのは避けた方がよいと感じます。
ただ、頻出論点を犠牲にしてまで優先する必要はありません。
実際、捨てた論点が出題されていても、他の頻出論点で得点して、合格できています。
9.経営法務の実際の勉強方法
【経営法務】は範囲によって、最終的に頼るツールが全く違うと感じました。
まず、大まかに以下の流れで勉強しました。
- テキストを読む
- 問題集を解く
- 過去問を解く
- 会社法は小テスト作成
- バラバラの知識を1枚の紙にまとめる
❶テキストを読む
まずはいつも通りテキストを1周読みました。会社法に関しては、「覚えられる気がしないな~」と思いながら読み進めていたと思います。
「会社法」の分野に関しては、「株式会社ってなに?」からスタートだったため、用語の意味を調べることが多く時間が掛かりました。
※民法について
民法に関して、初学の方だと診断士のテキストでは不十分な可能性があります。
1周してみて「???」の場合は、他の教材の民法部分だけ熟読することをおススメします。(できるだけ問題集の演習量が多い教材が良いと思います。)
❷問題集を解く
1周目から完璧にやろうとするとなかなか前に進みません。1周目から完璧に解こうとはせず、テキストを見ながらでもいいので、とにかく問題を解いてみることを意識していました。
この段階では、4割くらいしか理解できていなかったと思います。
2周目に入ると、すでに暗記できているものとそうでないものに分かれてきます。気にせずにどんどん進めていきます。
最終的には全問題3周は行いました。それ以降は使用していません。
❸過去問を解く
「何を覚えなければいけないか」がよくわかる
問題集を3周し終われば、次は過去問です。
過去問に取り掛かってから、理解と暗記がもっとも加速したのが【経営法務】です。
特に、「会社法」と「知的財産権」は、基本的な問題が多く、「何が論点になるのか」「何を覚えなければいけないのか」がはっきりとしました。
過去問は2周
過去問は5年分を2周しました。
最終的には暗記する内容が多い科目ですので、2周目で80~90点取れればいいなと思いながら、小テストやまとめシートを作成していました。
<実際の過去問演習の点数>
| 年度 | R7 | R6 | R5 | R4 | R3 |
| 1回目 | 64 | 76 | 56 | 88 | 68 |
| 2回目 | 96 | 68 | 88 | 92 | 88 |
知的財産権は過去問演習で復習
知的財産権の分野に関しては、過去問が網羅的に出題してくれていると感じました。
よって、繰り返しで答えを覚えていたとしても、この分野だけは過去問を回すことが効果的だと思っていました。
❹会社法は小テストを作成

過去問で、「何を覚えるべきか」が分かれば、次はそこに対する小テストを作成していました。
テキストを見ているだけだと、覚えたつもりになっていることが多いです。
テスト形式にして、思い出す作業が効果的だと思いました。
❺バラバラの知識を一枚にまとめる


テキストは前から順番に読んでいくため、横断的に整理が難しいです。
写真のように、パッと見て1枚で関連知識が手に入るような資料を自作していました。
隙間時間の勉強にも使い勝手がいいです。
10.実際の正誤
私は令和8年度を受験しましたが、「68点」でした。
実際の問題の正誤を紹介しておきたいと思います。

11.まとめ
経営法務は「暗記科目」と言われることがありますが、実際に勉強してみると、最初から最後まで暗記だけで乗り切れる科目ではありませんでした。
私の場合は、以下のように分野ごとに勉強方法を変えました。
- 民法:宅建の知識を活用し、相続は一から勉強
- 会社法:まず仕組みを理解し、その後に細かな知識を暗記
- 知的財産権:全体像を掴んだあとは、重要事項をひたすら暗記
- その他:頻出論点を優先し、細かな論点は概要を押さえる程度
特に、会社法は「株式会社とは何か?」というところから理解するのに時間がかかりました。
一方で、知的財産権は前提知識がなくても比較的取り組みやすく、暗記中心で進めることができました。
また、すべての論点を完璧にしようとはせず、「6割で合格できる」ことを意識して、勉強する範囲にも優先順位をつけました。
経営法務は範囲が広く、細かな知識も多い科目です。
だからこそ、「全部覚えよう」とするよりも、「これは理解する」「これは暗記する」「これは概要だけ」というように、自分なりに分けて勉強することが重要だったと感じています。
<参考記事>
【独学向け】中小企業診断士一次試験ガイド|4科目合格した私が勉強法を解説 – 診断士合格への道 (shindanshi-study-note.com)
【完全独学】中小企業診断士1次試験の勉強時間はどれくらい?5か月で4科目合格した私の実績を公開 – 診断士合格への道 (shindanshi-study-note.com)
【完全独学】中小企業診断士1次試験の勉強法|5か月で4科目合格した私が実践した方法 – 診断士合格への道 (shindanshi-study-note.com)
コメントを残す